STUDIO RICE 音源制作レポート:ラジオ用の時報兼BGM
date: 2009/10/05 18:36 | modified: 2010/03/17 18:21
category: 楽曲紹介
せっかくサイト内容のリニューアルを図りましたし、「サウンドクリエイターチーム」などと仰々しい肩書を書いてしまった手前もう後には引けないので(右上のほうにそんな記述が……)、これから、今までにお仕事で制作した音源なども不定期にご紹介していこうかなと思います。
もう5~6年ほど、ラジオで使用するような音源の制作をやらせていただくことが多いのですが、今回はその時に制作したものをご紹介したいと思います。まずはこちらの音源を聞いてみてください。30秒で終わります。
(右の三角マークをクリックするとオーディオが再生されます)
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ラジオの放送ではよく、毎時0分ごとに時報代わりとしてCMが流れることがあるのですが、この曲は、そのコマーシャルメッセージを載せるための時報兼BGMとして使われたものです。よい機会ですので、この楽曲制作の様子について思いついた範囲で解説をしてみたいと思います。もしご興味あれば「続きを読む」をクリックしてください。
制作のポイント
ポイントとしては、
- 何よりまず、30秒キッチリで終わる
- 上にナレーションが乗るので、派手だけど邪魔しない感じに
- CM後の番組に、うまく流れが繋がっていくような感じに
というラインを守りながら作ります。
何よりまず、30秒キッチリで終わる
ラジオの放送というのは、尺(時間の長さ)が決まっています。これをはみ出してしまったり、短すぎて間が空いてしまうようでは使い物にならないので、何よりもまず尺はきちんと守るのが最初の約束事です。
しかし、これは楽曲でもあるわけですから、30秒の間ただ音が鳴っていればよいというわけではなく、この30秒の中で楽曲の展開をある程度付けていかなければなりません。30秒での楽曲フィニッシュはある程度最初から狙って作りますが、うまくいかない場合は、多少変則的な進行をすることもあります(もちろん、聞いておかしくない範囲でですが)。あるいは、1~2秒の差異であればテンポを変えて対応することもあります。とりあえず、今回の曲はそんなに不自然な展開にはならなかったので、そういったギミックは使いませんでした。
上にナレーションが乗るので、派手だけど邪魔しない感じに
権利的都合上ここでは楽曲のご紹介しかできませんが、コマーシャルメッセージとして使われるので、実際に曲が使われる際にはこの上にナレーションが乗ります。また、コマーシャルメッセージである以上、ある程度聞いている人の注意を引くような、派手な要素も必要です。しかし、あまり楽曲が派手すぎると大事なナレーションを邪魔してしまうことになるわけで、これはNGになってしまいます。なので、このあたりの「派手」と「邪魔しない」のバランスを上手く取らなければなりません。とか言いつつ、この曲はかなり派手なほうなのですが、基本的に楽曲中に大きな起伏(音量・フレーズ・アレンジ的な起伏)がなければだいたい大丈夫です。
CM後の番組に、うまく流れが繋がっていくような感じに
これは言葉で説明するのは非常に難しいのですが、CMと、次に流れる番組が、流れを止めることなく自然につながっていく感じ……みたいなものを目指します。たとえば、あまり楽曲が盛り上がりすぎて、その楽曲が突然パタッと終わってしまったら、DJさんはしゃべり出すきっかけをうまくつかめないかもしれません。具体的には、次の音が鳴りだすきっかけを作りやすいように、最後に効果音(よくスイーパーなどと呼ばれます)を入れて、次の音を鳴らすきっかけを作ると、次の番組に綺麗につながります。
使用している機材・ソフト
今回ご紹介した楽曲で使っている音源は以下のようなものです。
DAW
- Steinberg Cubase SX3
うちではここ10年ほどWindowsで音楽制作を行っているので、DAWは基本Cubaseです。DAWはいくつか使い分けていますが、MIDIベースの編集がメインになりそうな制作ではまずCubaseです。最新はVer.5ですが、いまだに3を使っていることについて、とくに理由はありません。強いて言えばバージョンアップかなんとなく億劫、といったところでしょうか。ただ、最近になって動作が不安定になってきたのでそろそろバージョンアップを考えたいところです。
ソフトシンセ
- NI KONTAKT3
- NI Pro-53
- TOONTRACK EZDrummer
- reFX Vanguard
NI KOMPLETEという、NI社製ソフトシンセのお徳用パッケージをずっと使っているので、自然とそのあたりがメインになってきます。KONTAKT3はサンプラーで、汎用ですが主に効果音関係を鳴らすことが多いです。メインでならしているシンセリードはPro-53です。この手の音色は好きでよく使っています。EZDrummerは生ドラム音源で、パターンを選んでトラックに貼り付けるだけでこんな感じにグルーブ感のあるドラムが鳴ってくれます。お手軽なので仕事でよく使います。またVanguardは手軽にトランス系のアルペジオを出せるのでこの手の制作では手放せません(前半のアルペジオがそうです)。
ハードシンセ
- KORG TRITON-Rack
ソフト音源だけでたいていの音楽制作はなんとかなってしまうご時世ですが、とくにKORGの音はオケの中でも埋もれずに抜けてくる存在感とか荒々しさみたいなものを持っているので、ハード音源はいまだに手放せません。ここぞというときにはよく使用しています。この曲では、前半のオルガン、後半のメロディとベルなどがそうです。
ちなみに、「何が時報っぽいか?」というのをいろいろ考えた結果、ベルっぽい音がそうなのではないかという結論に至りました。この30秒楽曲のシリーズはここ数年で何十本と制作しているのですが。基本的には最後にベルの音色が入ることが多いです。
まとめ
今回は「ラジオで使用する音源」というくくりでいろいろ書いてみました。「制作のポイント」で書いたとおり、曲を作るに当たっての制約はとても多いですし、苦労して作った割には実際にオンエアに乗ってみると意外と目立たなかったりするのですが(^_^;)、コマーシャルメッセージの一部として快活なイメージが聴いている人に上手く伝われば、作った側としてもまずまず成功かなと思います(曲を聞いて欲しいわけではなく、あくまでメッセージを聞いて欲しいわけですから!←ここ大事)。WebラジオやPodcastingで、ご自分でラジオを発信されている方も多数いらっしゃるのではないかと思いますが、こうした点になんとなく気をつけつつ、ご自分でBGMを作ったり用意したりしてみるのも面白いんじゃないかな、と思います。
こうした楽曲はほとんどが縁の下の力持ち的なものなので、このような形で公開することが今までなかったのですが、自分で書いていて面白かったのでw、興が乗ったらまたやってみたいと思います。