STUDIO RICE 音源制作レポート:抽象的なイメージから音を作る

 前回は、ラジオで使用する時報兼CMのBGM制作についてご紹介させていただきましたが、今回もそれと同様の音源を紹介しながら簡単にレポートをしてみたいと思います。今回は「抽象的なイメージから音を作る」という部分についてちょっと考えてみたいと思います。

 まずはこちらをお聞きください。30秒です。
 (右の三角マークをクリックするとオーディオが再生されます)

[audio:http://www.studio-rice.org/wp-content/uploads/2009/10/sample_0910221.mp3]

 クライアントさんが空港にまつわる企業さんだったこともあり、仕事を発注してくれたディレクター氏から来たオーダーは「飛行機が飛ぶようなイメージで」という、極めてアバウトなものでした。アバウトではありますが、こちらとしても自由度が高いオーダーは燃えます。(どちらかというと、具体的に曲調を指定していただけることのほうが稀です)

 今回は、こうした抽象的なオーダーをもらった際に、どのようにして曲調を決定していくか、ということについて書いてみたいと思います。もしご興味があればのぞいてみてください。

連想してみる

 こうしたオーダーをいただいた場合には、もちろん制作サイドである自分の側で曲調を決めなければいけないわけですが、まず行うのは「連想ゲーム」です。ビジネス書的にいえばマインドマッピングみたいなことを一人で黙々とやります。

 「飛行機が飛びそう」というシチュエーションと、クライアントである企業さんのイメージ、あるいはどういった人にこのCMを聞いてほしいか……などといったようなことも合わせて、以下のようなキーワードを自分の中で引っ張り出してきました。

  • 空港ロビーのBGMで流れるような、清楚で落ち着いた雰囲気
  • 「これから旅に出るぞー」と思わせるような、軽いワクワク感のようなもの
  • あるいは、某「○ェットストリーム」みたいな感じw

 そんなキーワードをいくつか並べているうちに、とりあえず「ストリングスをメインで使った明るめのイージーリスニング系」というようなイメージが出てきました。具体的に言うと、ポール・モーリアとかパーシー・フェイスあたりでしょうか(余談ですが両方とも見にいったことあります)。もちろん、あまりベタベタに雰囲気をマネしてしまうと古臭くなるのでそのまんまの雰囲気ではやれませんが、まずは大体そんな感じ、ということでこのあたりのイメージを軸にしていくことにします。

 ちょっと話はそれますが、テレビ番組やCM等の影響で、このシーンといえばこういう音、みたいなものが意外と定着している、ということがあります。この「飛行機だからイージーリスニング系」というイメージも、某「○ェットストリーム」の功績が大きいと思います。もっと他にも「空港」とか「飛行機」に合う音楽というのはたくさん存在するんじゃないかな、とは思いますが、やはり分かりやすさを重視するようなシチュエーションでは、こうしたマスのイメージはうまく活用させていただくことにしています。

放送される時間帯を意識してみる

 次に意識するのが、この音源がオンエアされる時間帯や曜日です。というのも、これらの時間帯によって、求められる曲調というのは変わってきます。前回にお話しした中に「CM前後の番組との流れを意識する」というのがありましたが、やはり時間帯によって放送のイメージやターゲット層も変わってきますので、なるべくならそうした流れや雰囲気を崩さないものを作る必要があります。若者向けの元気な番組の合間に大人しい曲調では目立ちませんし、深夜の時間帯にあまり元気なものをやってもやはり雰囲気に合いません。

 そこで、大ざっぱですが、以下のようなガイドラインを自分の中で設けています。

午前中  さわやか・フレッシュな感じ。これから一日が始まるという静かな期待感。
午後  元気でアクティブな感じ。活動的な気分になりそうなワクワク感。
夕方  元気で、派手に。若々しく。実はここは若者がよく聞く時間帯。
 派手さと同時に、ちょっと大人っぽいアーバンな雰囲気も。深夜なら派手さを減らす。
平日  オンタイム。若干の緊張感。ちょっとだけテンション高めに。
休日  オフタイム。リラックス感。あまりテンションを上げずに。

 さて、今回オーダーがあった音源がオンエアされるのは、土日の午後の時間帯でした。ということで、前項のイメージとあわせて、「落ち着いた中にもある程度テンポ感のある曲が必要」という判断をしました。このぐらいまで具体的に青写真が固まれば、自信を持って制作に入ることが出来ます。

ここまで決めたら作るだけ

 あとは前回お話ししたような、時報CMとしてのガイドライン(指定の時間できっちり終わる、上に乗るナレーションを邪魔しないような感じに……などなど)から外れないようにしながら曲を作っていくだけです。

 この曲の場合、ストリングスのパートは全体を包み込む程度にし、ベル系の音色でメロディを取って若干のポップさを出しました。また、落ち着いた感じは保ちつつもテンポ感を出すために、あまり仰々しくならない範囲でリズムのループなども使用しました。ループにはローパスフィルターなどをかけて、音色的にも大人しめな印象にしてあります。また、遊びの要素に近いですが、最後のほうではちょっとジェット音的に聞こえる効果音などもこっそり用いて、さらに雰囲気を出しています。

まとめ

 今回は、オーダーがあってから曲調やイメージを決定するまでの流れを自分なりに追ってみました。ここまで自分の中でイメージが固まっていれば作業中に悩むことも少ないですし、制作にもそれほど時間はかかりません。それと、不思議とリテイクも少ないです。逆に言うと、これは仕事としてのものづくり全般に言えることだと思いますが、制作に入る前にこうした青写真をしっかり持っておくことがとても大事じゃないかな、と最近は思います。

※もちろん、手を動かしているうちに偶然何かが生まれていく、というのもすごくエキサイティングなことですし、個人的な制作では即興チックな事もやりますよ!


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投稿者:

よしだ

よしだ

Webプロデューサー、レッスン&セミナー講師、マーケティングコンサルタント。ときどきカメラマンとしても活動。

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