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「さよならPowerCore」と言えるようになるまでにたどった、長い長い思考の道のり

今まで10年間使ってきたTCのプラグインプラットフォーム、PowerCore FireWireを先日とうとう手放してしまいました。ずいぶん前、開発終了が決定した時にも思ったことをブログで書いたことがあるのですが、きょうはPowerCoreプラットフォームを諦めるまでの想いとどうやって代替・訣別したのかをツラツラ書いて行きたいと思います。

PowerCoreとぼくの10年間

ぼくがPowerCoreを買ったのは、確か2004年の暮れの頃。ちょうどマスタリングプラグインのMD3が世に出た頃です。このMD3がどうしても使いたくて購入を決意。日本で買うと高いので、確かアメリカの通販サイトaudioMIDIから個人輸入で、MD3と同時に買いました。

当時ぼくは質のいいリバーブ、コンプ、EQ、マスタリング用リミッター等のプラグインを喉から手が出るほど欲しがっており、PowerCoreは夢のマシンでした。まだ制作もすべてデスクトップだったし、他にもラック機材はいくつかあったのでラックマウント形のハードウェアも特に問題なかったし。MD3は最初から多用。リバーブも、最初のうちは標準添付のClassicVerbが密度が濃くてよく使っていたのですが、そのうちにVSS3が登場して、うちのリバーブは完全にこれ一本となります。さらには同名のビンテージコンプをモデリングしたCL1Bが発表され、これもセールの時にゲット。PowerCoreプラグインを着々と増やして行ったのです…。

では、なぜ手放そうと思ったのか

大きな理由は2つありました。まず、開発終了してしまったために64bit版のプラグインが存在せず、そのままではLogic ProXで立ち上げられないこと。これはサードパーティで32bitプラグインのアダプタがあるはずなのでその気になれば回避は出来ますが、いつまでも正常に動くとは限りません。どんなによいプラグインでもいつか使えなくなる不安を抱えながら使い続けるのはちとツライ。

もう一つの理由は、いまぼくが制作環境の理想としている「どこでも作曲作業が出来る」が著しくそがれてしまうことです。制作環境をMacBook1台に集約してしまった今、単純にハードウェアが邪魔なのです。こちとらノート1台でどうにかしたいんだ! 今時ラックマウント機材なんかいらんのだ!

ということでもう諦めました。脱PowerCore!

さて、どうやって代替しようか…?

とはいえ、ほんとに、ほんっっとに痛いのはMD3とVSS3でした。うちで作る作品のミックス時には必ず使用していたプラグインです。CL1Bだってかなりの使用頻度です。これらを諦めるまでに、以下のような実験やら葛藤やらがありました。

MD3は、FabFilterのPro-QとPro-MBで同じことできた

マスタリングプラグインであるMD3の何に頼っていたのか。一番大きいのはM/S処理ができるということでした。買った当時はあまり深くは理解していなかったのですが、とにかくMD3をかければ、ブワッと定位が広がった空間的なマスタリングが出来るということで、何も考えずかけてきました。もう、この10年間のぼくの作品にはほぼすべてこの処理がほぼ例外なく施されてきました。

しかし、2004年当時はまだ珍しかったM/S処理も、今はいろんなプラグインで出来るようになってきました。ってことは、ちゃんと仕組みさえ理解すれば同じような音は作れるんじゃないのか。結果から言うと、今まで何回か記事にしているFabFilterのプラグイン、Pro-QPro-MBでほぼそれっぽいものが出来上がりました。

MD3のシグナルの流れは、M/S処理のEQ⇒M/S処理のマルチバンドコンプ⇒リミッタというものです。そして今まで気に入っていた「定位がぶわっと広がる感じ」は、簡単に言えばSideの成分を強調してやれば割と簡単に実現できる。

今までよく分からず(特にTCのプラグインはパラメータしか書いておらずまったくグラフィカルではなかったので)なぁなぁにしていた部分ですが、共にM/S処理の可能なPro-QとPro-MBの併用で、これならいけるかもというセッティングがだいたい見つかりました。これで脱MD3は決定。

VSS3は代わりがないけど見切り発車

そしてもうひとつ、リバーブプラグインのVSS3もけっこう痛かった。質がよくて長く使えるリバーブを…と思って買ったものなのですが、これは現在代替品がありません。今のところLogic標準のSpace Designerで凌いでます。悪くはないけどもう少し密度というか質感というか色気が欲しい。

ただしこちらはMD3みたいな特殊なプラグインではないですし、なんとかなるといえばなんとかなるのでこちらは見切り発車でさようならとすることにしました。できればNIあたりで高品質のIRリバーブ作ってKOMPLETEに入れてくれないかしら。Reverb Classicsみたいなのも出してるし、KONTAKTとかにもIRリバーブ入ってるんだから作ったら作れるでしょ。

CL1Bは、まあそこまで困らないからいいや…

また、もうひとつのCL1Bですが、こちらも痛いといえば痛いですが、絶対にCL1Bじゃなきゃ、というシチュエーションは実際そんなにない。1176とLA-2AのシミュレートはNIのやつを持ってるのですが、今はこのどちらかを差すことで大体間に合ってます。ちなみにガッツリとパンチ力ある1176と、ふわっと持ち上がるLA-2Aの中間ぐらいのイメージで使ってました。でもそのうちSoftubeのやつ考えるかもしれない。

そんなわけで諦めがついたので、最後に記念写真を

これでやっとPowerCoreを手放す決心がつき、最終的にはヤフオクで売却することとなりました。

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売却前に、動作確認を兼ねて今使っているMacBookProでPowerCoreプラグインを立ち上げてみました(Logicだと32bit立ち上がらないので、Ableton Liveで)。すでに開発終了してけっこう経ちますが、最新のOS10.9でもこの通り問題なく動きます。今までありがとう。新しい持ち主のところに行ってもがんばるんだよお前たち。


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投稿者:

よしだ

よしだ

Webプロデューサー、レッスン&セミナー講師、マーケティングコンサルタント。ときどきカメラマンとしても活動。

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